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  • 土屋晶義

知財の利活用

更新日:2020年5月24日


 1)経営に資する権利化


 特許庁予算の知財無料支援事業における支援担当者時代に、特許を取得したが、売り上げに結びついていないのでどうしたらよいか、という相談も頻繁に受けてきました。  

 よく伺ってみると、発明したので権利化する必要があると判断して権利をとったが、どのようにして販売したらよいかが判らないケースがほとんどでした。

 さらに詳しく伺うと、権利さえ取得したら売れるものと短絡的な発想をされていることが多いことが分りました。  


 権利化には費用もかかり、権利取得までの時間や労力という貴重な経営資源を使うことであり、投資そのものでもあります。

 しかし、販売に結びつかないというのは、回収見込みが立たないのに安易に投資をすることと同じであり、また、権利化そのものが目的になっていると判断せざるを得ないことが多いと言わざるを得ません。


 本来、権利化は、事業の自由度を担保する、優位性を発揮する、知財リスクを回避する、

ことで事業貢献し、経営に資することが目的であり、その認識が希薄では権利化の成果は期待しにくいといえるのです。



2)権利化の前にすべきこと


 販売に貢献していないのでどうすべきか、という相談がある時点で、すでに手遅れといえるのではないでしょうか。

 例えば、模倣対策が目的としたら、商標・意匠や自社の発明を活用しなければ、第三者が同じものを製造できないことが担保できる権利を取ることにつきます。 

 つまり、第三者が自社権利の使用または実施が避けて通れないようにすることが肝となります。 

この様に事業貢献できない権利を取得することは、回収できない無駄な投資をおこなうことと等価であると考えるべきです。


 繰り返しになりますが、権利化は、事業の自由度を担保する、優位性を発揮する、知財リスクを回避し、事業貢献・経営に資するためには、どのような権利をとるべきかを製品開発段階から、関係者が衆知を集め、徹底的に吟味することが重要です。


 その中でも、特に権利を取得することが可能か、先行調査を徹底することが不可欠となります。さもないと、出願準備はしたが、結果として権利取得ができない最悪のケースとなるリスクを回避することが難しくなます。

この認識を持ち、やるべき準備を愚直なまでに徹底してやり切ることでしか権利化の成果は期待できないといえるのです。


権利化の対極にある秘匿化及び権利の維持管理については、後日、別途アップしたいと思います。


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