1)模倣対策=摘発ではない
中国でも帰国後も様々な機会に模倣対策の話をしていますが、模倣対策=摘発 と考える方がかなりおられましたが、それは誤りです。
仮に摘発しても、模倣行為を簡単にやめず何度も再犯したり、摘発すればするほど、摘発を逃れるため模倣巧妙化が進み、摘発が増々困難になり、高額の費用を費やすことになります。摘発できても解決できない課題がありますし、また、摘発さえしていればそれで良いとうほどことは簡単ではありません。
2)全社でできることをなるべく早く
先ずは事業への影響がどれくらいあるのか可能な限り定量化する必要があります。
仮に1千万円の被害があるから、百万円出しても今後被害を食い止めたいなど、被害規模
が判らなければ、適切な対応はできないからです。
経営に影響ないと判断できれば、当面静観という選択肢もあるかもしれません。
ただし、どんな対応でも、対策を講じるなら早いほうが良いともいわれます。
ちょうど葉っぱの虫食いに比喩されるように、放っておくとそのうち葉が食い尽くされてしまうことが危惧されるからです。
いずれにせよ、どのような対策でも、全社が一丸となってできる対策を講じることがポイントです。
3)対策の目的を定める
模倣対策は、模倣品・侵害行為から、誰(何を)、守るのでしょうか?
例えば、ブランド保護、被害の極小化など自社の為はもちろんのこと、模倣粗悪品からお客様の健康・安全を守る、正規品購入希望のお客様が誤って模倣品を購入するリスクを極小化する、など様々な目的があると思います。
また、守るべきお客様は、当然ながら自社ブランドを愛し、正規品のみの購入を希望されている方に限定してよいと思います。少しでも正規品を安く購入しようとして、中古市場や模倣品市場で購入される方は微妙ですが、模倣品と知っていて購入される方は、当然守るべき対象とみなさないことで良いと思います。
4) 対策を検討する
目的が定まったら、達成するための最適解を考えることになります。
病気と同様に、病気を予防をすることで痛みの伴なう治療、むだな費用もかけなくてすみます。
お判りのとおり、権利行使(治療)をしなくても良い、模倣され難くくするために権利を持つ、まねされ難いモノづくりや模倣品が混入し難いサプライチェーン整備など、全社でできる予防策を着実に実施していく必要があります。
知財担当や現地駐在員などが対応するものと言えば、下記のなかで青色表記されているくらいしかなく、その他は他部門が主導したり、協力がないと対応できないことがお判りいただけると思います。
治療より予防:
模倣対策マニュアル作成、運用の徹底:通常知財部門が主導
模倣されにくいものづくり:開発、技術、製造、営業など関係部署の担当
物流、商流管理:正規品のサプライチェーンに模倣品が混入しないよう業務部門が管理
注意喚起:模倣品を間違って購入しないよう市場への注意喚起と正規販売店での購入を
を営業が誘導