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  • 土屋晶義

広州交易会模倣対策の勧め

更新日:2020年7月19日


1)侵害展示品の取下げ

 QBPCのメンバーに何か対抗手段はないのか打診したところ、一社がすでに侵害展示物

の取下げを行っているとのことで、即刻、当社もこれを活用するに至りました。

  グローバル模倣品サプライチェーン対策に活用しない手はないと判断したからです。

  たまたま、該社知財責任者が広州市内におりましたので、地の利を活かしていろいろ

教えてもらい、有難いことに最も実績のある知財事務所も紹介してもらえました。

  それから、侵害展示品を取下げるための手続きなどを事務所から教えを受けながら、

侵害展示物の取下げを毎会期、成果目標管理のもと徹底して実施するようになりました。


2) 侵害展示品の取下げの勧め


 以下のことを切実に思われておられる企業様には、特にお勧めします。

 

  *商談阻止をしたい

  *展示会で展示侵害品を取下げたい

  *効果的な摘発に繋げたい

  *侵害抑止効果を期待したい

  などなど、対応の目的であるグローバル模倣サプライチェーン対策、巧妙化対応の

 情報収集の有効手段として活用できる可能性があるからです。

 

3)メリットとデメリット


 メリットですが、初回から、前回展示の分析により、今回出展したら摘発すると決めていた侵害品展示を着実に取り下げることができました。

 出展品を取り下げることで輸出商談を断ち切ることが容易になりますし、再犯抑止となることも期待できるかも知れません。


 ところが、次回はデッドコピーの出展は半減しました。類似は取下げられません。 

 デメリットは、このように侵害者に更なる巧妙化のきっかけを与えるリスクがあります。

 展示されていた類似商標を市中、工場で摘発すると、次は同一意匠のノーブランド品の出展となりました。

 これも想定内のこととして、展示会では意匠完全一致のものの展示取下げをしていくと、今度は操作パネルのレイアウト変更、スイッチの形状や数量の変更など意匠の一部を変えてきました。

 ここまでくると、類似意匠を叩くのは、行政執行では対応が困難なため訴訟で決着をつけることになります。原告日本企業、被告中国企業の訴訟は渉外案件と呼ばれ、判決には省共産党の承認が必要となり、アウェイの日本企業をそう簡単に勝たせてはくれません。

 通常和解勧告を受け入れ、不再犯念書を書かせるのが現実的な落としどころと言えます。

 摘発を継続するほど、侵害者との打ち合いを覚悟したハードランディングの容認と成功定義を堅持し、ブレずに対応することが求められることになります。

 そして、その先にあるのが、豊富な摘発経験を持つ日本企業はほぼ例外なく経験されている、摘発するほど経営者から突きつけられる『費用対効果はどうなんだ』問題です。



4)類似商標展示事例

 ここまで熱心に読んでいただいた方への感謝の気持ちを込めて。


 自社ブランド展示品の横に類似商標を表記した梱包箱を見つけました。

 さて、これが皆さんの商標の類似であったとしたら、どうされますか?

 「商標権侵害でないから、問題ない」と考えられる方は、


  この類型の模倣品などが増え続けるリスクを放置することになります。

  これで経営上問題なければ、その選択肢もありですが、、、

 「問題である」と考えた方は、どのような理由からで、どのようなアクションを

 考えられますか?

  これは、私自身が発見し撮影したものですが、要アクション対象としました。

 

  つまり、模倣品輸出を意図した確信犯だからです。

  出店者のブランド品を出展しながら、隣では類似商標の梱包だけ置いておき、権利侵害

とみなされることがないのを承知で、侵害商標での商談を待つパターンです。

 1.4万人いると推定される模倣品買付バイヤーにしてみれば、『希望するブランドで出荷します』というメッセージに等価に見えてきます。

 そうして自社ブランド品の輸出商談がまとまっていくわけです。


 広州交易会のかりは、工場摘発で返すです。

 類似商標は、市中での権利行使であれば内容にもよりますが、結構勝算ありです。

本件では、馳名商標をフル活用して出展者が侵害品を倉庫にため込んだタイミングで首尾よく摘発しました。 

 このように展示会で権利行使できなくとも、侵害者と侵害品が特定できる(または糸口をつかめる)可能性があり、巧妙化が進めば進むほど侵害特定の切り札となりうることが期待できるのです。





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