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模倣対策ですべきこと

  • 土屋晶義
  • 2020年3月25日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年6月22日


1)模倣品の実態を把握する


 模倣品が出回って困っているから何とかしたい、という相談が多発しています。

 しかし、どのような模倣品が、どこで、どれくらい出ているのか、それに伴う事業への

影響について、具体的に把握されているケースはあまりありません。

 まずは、被害がどの程度あり、それが顧客の方々にどのような影響を与えているのか、

放置できるのか、対策をとるならどうすべきか、等を判断する客観的、具体的に実態を

把握することが対策のスタートとなります。


 現場調査をする必要がありますが、特に海外では製造・ネット販売を含めた販売現場を

特定する調査は、ECサイト調査を除き危険を伴うことが多々あり、専門の調査会社を起用

することが一般的です。

 その場合、それぞれの商品分野や対象地域で実績を誇る、信頼でき、調査能力の高い

調査会社を起用することが成功の鍵を握ることになります。



2)対策の目的を明確にする


 目的が明確でなければ、どのような解決手段が最もふさわしいのか判断し、選択することはできません。  

 例えば、模倣被害を最小限に抑えたいのか、自社権利を無断で使用することをやめさせたいのか、模倣品による安全・健康へのリスクを極小化したいのか、間違って模倣品を購入する顧客が出ないようにするのか、等目的を明確にすることが重要となります。

 

 初めて行く場所が分からないときには、地図を調べるように、目的が不明確であれば、どの地図を参考にしたら良いか判らず、結果として目的地にたどり着かないことと同じことです。目的地にたどり着くため、地図(明確な目的)を持ちましょう。



3)最適な対策を選択する


 目的により、実現するための最適な手段を選ぶことになります。

 そもそも論として、模倣品=権利侵害や違法行為となりますので、自社権利があることが大前提です。権利がなければ、単なる似ている製品であり、対策を講じることが非常に困難となります。

 法的な対策を講じるなら、自社権利が有効であること、法的に侵害の根拠を示せること、そのために最も効果的と思われる対策(警告書の出状、行政摘発、民事・刑事訴訟など)を選択することになります。

 

 いずれをとっても費用が発生しますので、その対策による成果(=成功定義)、費用対効果、実施すること又は実施しないことによる風評被害などの不利益や業績への影響、などを総合的に判断して最適な対策を講じることになります。



4)模倣対策における現場主義と組織対応


 模倣対策を実施することは、ある意味、火事場の火消しと同じです。

 刻々と変わる状況の中で、どのようなことをすべきかを絶えず模索し、タイムリーに実行に移すことになります。

 よくあるのが、今、中国で模倣品が作られています、どうしましょうかと日本本社に指示を仰ぐことです。現場を知らない本社が今何が必要とされているのか、現場最適解が何であるか判断することはまず不可能といっていいでしょう。


 現場の状況をリアルタイムに把握できる自社の現地担当者等に現場での対策実施の権限を与え、現場判断を最優先する対策をとらねば、消火する前に燃え尽きてしまう、中にいる人を救うことも難しくなります。

 事件は現場で起こっているのであり、本社や会議室で起こっているのではないので、現場

主導のアクションが担保できなければ、実施の効果は期待でき難くなります。


 ジェトロ時代の相談では、このことができていない相談者がほとんどであり、模倣対策が

知財担当や現地駐在員の頑張りだけでは完結しないこと、まずは全社レベルの模倣対策の組織の構築化が必要であること、その働きかけをされてはどうか、助言していました。


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