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ウルムチ市での電池摘発

  • 土屋晶義
  • 2020年5月6日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年6月25日

1)マンガン電池の摘発

 マンガン電池は材料パウダーを棒で容器に押し込む原始的なものもあり、模倣品にも沢山のバリエーションがありました。

 ただ、正規品の単価でもそんなに高くないので、模倣品から得られる利益はたいしたことがないにもかかわらず、製造しやすいがため、模倣品が多発していました。

2)ウルムチ市での摘発は困難を極めた

 以前より、多くの模倣品がウルムチ市経由でCISに流れているという情報は、多くの権利者の知るところでした。

 ところが、現場執行をおこなう役人も現地のウイグル族の管轄地であり、的確な情報収集や現場執行に活用できるまでの役人とのネットワークをもつ(ほとんどが漢民族の)事務所は当時あまり知られていませんでした。

3)ウルムチ市内の輸出用偽物市場

 同市開催のQBPC真贋鑑定セミナー出席時に、市内の偽物市場を視察することにしました。

 輸出向け偽物市場なので、4階建てのビル3棟にびっしり並ぶ小さな店舗をうろつくのは偽物も調達しようとするCISからのバイヤーが主であるとのこと。

 漢民族ならまだしも、バイヤーとは思われない日本人は警戒され、危ないので気をつけるようメンバーからも助言をもらっていました。


4)偽物輸出市場に潜入

 広州交易会の展示ブースのような6畳くらいの狭く、薄暗い店内の壁にそってテーブルが置かれ、そこに日用雑貨など多くの商品がならべられていました。

 あやしまれぬように、身の安全を自らまもるため、

 1. 同行の女性弁護士が先に店に入り、その背中越しにさっと見渡す

 2. 対象をアイロンとマンガン電池に絞り込む

 3.長居は禁物、滞在時間は心持ち5秒程度

 という作戦をたて、安全第一で実行していきまた。

 どの店舗もほぼ同じ構造で、置き方もある傾向があり、そのうち、だんだん暗さにもなれ、どの辺を注視すればよいかが感覚的にわかるようになった気がしました。


5)貨物列車2両分摘発

 かなりの量の物流があるとにらみ、該事務所と摘発作戦会議を開きました。

程なくして、貨物列車2両すべてが偽物マンガン電池の摘発に成功したと情報が入りました。なぜ成功したかは、企業秘密であり詳細は控えますが、「模倣品取引きと輸送内容の正確な情報をタイムリーに執行機関に伝え、執行機関の協力を得て成功させることができた」ということです。

 因みに、正規品に比べはるかに寿命が短い模倣品をなぜ買うのかと事務所社長に問うと、

「それを分っていても、高い正規品が買えない貧困のマーケットがまだ世界中にある」との

ことで、グローバル模倣品サプライチェーン対策の深堀りをする契機となりました。

 


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