腕利きの調査会社・事務所の起用が肝
- 土屋晶義
- 2020年5月5日
- 読了時間: 2分
更新日:2020年6月3日
1) なぜ調査会社が必要か?
中国では、侵害品の製造や販売現場に対する摘発を執行機関へ依頼する場合、権利者自ら行うことはできないため、権利者から委任を受けた調査会社などが申請するしくみになっています。
また、模倣品業者=犯罪者で、調査員が危害を加えられることが頻発していることもあり
リスク対策の観点からも、調査会社に調査依頼から摘発手配まで依頼するのが一般的です。
(まず、現地担当者は、自らの身を守ることが最も重要です。)
2) 事前リークによる摘発失敗
したがい、摘発が成功するかは、調査会社のパフォーマンスに依存するといっても過言ではありません。
ちょうど広州に赴任した数日後に、本社知財担当者が北京の事務所に依頼した商標権侵害案件の摘発現場を安全確保をしながら視察することができました。
前日広州入りした該事務所所長の調査報告と明日の摘発執行の段取りの説明を受け、翌日の執行現場に向かいました。
ところが、執行現場では押収すべき模倣品がまったく見つからず、結果として摘発は空振りに終わりました。
その間該所長が執行機関の現場指揮者や侵害工場の社長と会話する様子を視るだけで内容は分からずも、あたかも親しいもの同士が会話している様が窺がえ、違和感を感じました。
更に現場及び事務所での打合せでの該所長の説明と立ち振る舞い等を総合的に判断して、侵害工場社長に執行予定が事前にリークされたに間違いないと確信しました。
また、元同僚のHさんも同じ意見でした。
3)火事場の火消し
また、これは現場に居合わせないと理解できないことであり、現場感が全くない本社知財
担当者が現場状況を把握できない中で、(事前リークにより侵害者からもリベートをもらっていたであろう)代理人に丸投げの依頼をしたことが失敗の要因であると断定せざるを得ませんでした。
現場ではこのようなことが絶えず起きるリスクを抱えており、万が一にも情報が事前に漏れることを想定して、事前に異変を察知する仕組みをつくり実行するという、現場にしかできないことを愚直に行うことに尽きます。
侵害品の移送などを事前察知したら執行延期することで失敗を防げます。
これをするには、少しでも優秀な調査会社(火消し)を起用することであり、現場に任せるのが確実であるということは、数々の難案件での摘発成功体験や合計500件におよぶ摘発
成功経験が実証しています。

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