JETRO北京知財アドバイザー時代にメンバー企業様の中国駐在員で構成される知財グループ(IPG)定例会で調査会社の上手な使い方につき説明していました。
主に知財ミッション以外の駐在員の方を対象の基礎編と知財担当者向け応用編でした。
本編は模倣対策を検討されておられる方々も対象に内容を若干修正しています。
1)調査会社とは
中国等で模倣品摘発をする場合、模倣品調査を依頼したり、また権利者が直接行政機関へ依頼できないので、中国の調査会社や知財事務所経由で行うことになります。
なお、調査会社の詳細については、ブログ『腕利きの調査会社・事務所の起用が肝』をご参照願います。
2)調査会社の不正行為に注意
摘発の成否は調査会社のパフォーマンスに依存するといっても過言ではありませんが、
その調査会社の中には悪質なところもありますので注意が必要です。
極端な場合、侵害者に内通し、摘発を回避させる、摘発しても摘発量を少なくする、結果如何に関わらず費用請求をしてくるなど不正行為を働く会社が存在することもJETROでの相談時に良く伺っていました。
また、QBPCのメンバー企業を巻き込んだ(当該企業現地担当者と当時中国を代表する大手調査会社の示し合わせによる)海外での侵害でっち上げ事件も大きな話題となり、弊社はじめ日本企業の継続的な起用にも影響を与えました。
現地駐在者でも上記のようなことに巻き込まれるリスクは絶えずありましたので、ましては日本から事務所経由へ依頼する場合、このようなリスク回避やパフォーマンスチェックを目的として調査会社を客観的に評価することは非常に難しいといえます。
3)調査会社の上手な利用法起用のコツ
A) 実績ある調査会社を起用する
工業会や異業種交流会などの機会を利用して、類似製品の摘発実績のある同業他社から
情報入手をトライするなど、工夫をすることです。(JETRO北京センターのサイトで中国
の調査会社、知財事務所などの情報を日本語で見ることができます。)
また、見積もり依頼を数社に出し、回答のよかったところを訪問して、必ず対面にて
経営者の人となりを見極めたり、職場の雰囲気を自らの目で見られるとよいと思います。
普通の海外ビジネス経験者なら、言葉が分らなくとも怪しいところは職場の雰囲気で
およそ察っしがつくのではないでしょうか。
B)得意分野を活用する
どの調査会社も得意な地域や製品などそれぞれ強みをもっています。
ある程度(市レベル以下)まで侵害地域が絞り込められるような場合、その地域に強い
調査員を有しているか、当該地域での成功事例をどれだけもっているか、を確認し可能な
限り、成功体験を有する部分を活用することです。
特に模倣品製造工場内部の的確な現場情報収集には、同郷の調査員を起用できることが
求められます。なぜなら、それぞれの地域には方言があり、現地での聞き込みなどの情報
収集活動ではよそ者はすぐ怪しまれるからです。
また日用品ならまだしも、対象商品がバイオ・化学製品、電機・機械・ソフトウェア等
の技術情報の理解が必要な場合は、特に同一製品等で実績ある部分を起用することです。